大阪大学 NEC Beyond 5G 協働研究所

Beyond 5G

Beyond 5Gが実現する2030年頃の社会像

 デジタル技術が浸透した世界では、性別・年齢・人種・障がいの有無などの垣根はなくなります。物理的・時間的な距離を超え誰とでも繋がり、様々な価値感を反映した個人に最適化された暮らしや、多様な働き方が当たり前となります。仕事を通じた自己表現、時空間・言語・世代を超えた豊かなコミュニケーションと知恵の共有と共感を実現した「インクルーシブな社会」が到来します。人間が本来持つ創造性をより発揮し、人や社会の更なる進化を目指すよう、価値観も変化していくと考えています。
 そこでは、人と人、人とモノとが時空間を超えたコミュニケーションを行います。いままでデータ化されていなかったあらゆるものからデータを取り出して活用するためにデジタルツインとして仮想世界に投影します。人間やロボットが活動するありとあらゆる空間において、片時も絶えることなく、テレコミュニケーションが利用できるようになります。

「人間・空間時間」を超える”テレX社会”

 “誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会”を目指す上で、コミュニケーションは社会を変える大きな力を持っていると信じています。B5G時代におけるAR/VR、internet of sensesなどの最新技術により、テレポーテーションや、テレキネシス、テレパシーなど、これまでにはいわゆる超能力と呼ばれているようなサービスまで、 新しいコミュニケーションの形として実現されていくでしょう。これらの”テレ”能力は、空間的な制約だけでなく、理解したり共感したり、感動させたり、物を動かしたりするような知覚/運動能力の制約も超える人間能力の拡張(Human Augmentation)とも言えます。また、未来を描き予測したり、過去に遡って分析、判断したりなど、時間的な制約も超えられます。
 2030年前後の将来社会をこのように考えると、人間が生来持っている能力や可能性の限界を、Beyond5Gによって社会実装された「テレX」なサービスによって超えていく社会とも言えます。つまりこれらは「人間を超える」「空間を超える」「時間を超える」ことができる未来であり、このような社会を実現するための新しいコミュニケーション像こそが、 Beyond 5Gの目標とするものだと考えています。

Beyond 5Gの2つの側面、技術進化の方向性

 NECはBeyond 5Gを、5G無線技術の性能が飛躍的に進化する量的拡大の側面に加えて、巨大かつ様々なデータをリアルタイムに処理し活用する技術・製品群と通信インフラが融合した社会システムとして位置付けます。すなわち、ネットワークと分散データ処理を融合し、全世界に散らばる通信・計算資源を有機的に活用し、デジタル化と活用、そして実世界とのリアルタイムなインタラクションを実現するための通信システムと定義します。これらはそれぞれが完全に独立して進化するのではなく、お互いに補い合う、いわば”共進化”の関係となっていくと考えられます。
 NECはネットワークとAIの両方の強みを活かしてBeyond 5Gに向けた技術進化の方向性を追究し、①無線通信/光通信技術とセンシング、②ネットワークの運用自動化/最適化、③分散データ処理基盤、④セキュリティ,トラスト,プライバシー、という4つの重点技術領域の研究開発を推進していきます。

Beyond 5Gの進化モデルとNECの貢献

 Beyond 5Gは生活や社会のあらゆるシーンを支える最新の情報通信技術として浸透し、DXのプラットフォームとして人々と社会を支える重要なエッセンシャルインフラとしての役割を担うようになり、実世界と仮想世界の人、モノ、コトのインタラクションのシームレス化に貢献していきます。
 NECは、従来までの情報通信技術の枠を超え、Beyond 5Gの実現に不可欠と考えられる5Gの量的拡大と分散データ処理に関し、研究開発の段階から一体的・統合的にアプローチしていきます。NECが保有する技術アセットに加えてシステム構築や運用のノウハウも最大限に活用し、お客様・パートナーの皆さまとの協働による研究開発や事業開発のオープンな取組みを進めます。
 Beyond 5G時代における“できたらすごいを社会に創る”こと、この実現に向けて皆さまと一緒に取り組んでまいります。最先端技術を社会へ実装し、すべての人に価値を体感してもらう、そのためにNECは挑戦し続けます。